7/3 相続・遺言相談事例74

2024年07月03日

Q:相続放棄の期限に間に合わない場合はどうしたら良いか司法書士の方にお伺いします。(和歌山)
亡くなった父の相続のことでご相談があります。父は和歌山の実家に一人で住んでいましたが、先日82で亡くなりました。母は既に他界していますので相続人は私一人です。和歌山市内の斎場で葬儀を済ませて今は相続手続きや財産調査をし始めているところです。私は十数年前から和歌山には住んでいませんので、父とは疎遠の状態が長く、父の財産については何から手を付けたらいいのか困惑しているといった具合です。とりあえず預金先の銀行はわかりましたが、どうやら父には負債があるようで、慎重に調査しないと私が弁済をすることになってしまうので困っています。遺言書もなさそうですし、負債が多い場合は、相続放棄を視野に入れる必要がありますが、まだ財産の全体像が掴めません。このままでは相続放棄の期限内に相続方法が決められない恐れがあります。何かいいアドバイスはありませんでしょうか。(和歌山)

A:相続放棄申述期間の伸長の申立てを利用することができます。
故人に負債がある場合の財産調査は慎重に行う必要があります。ご相談者様が懸念されているように、すべての財産を相続する「単純承認」をすると、相続人が借金の弁済をすることになります。お父様と長い期間疎遠であったご相談者様にとっては財産調査は非常に手のかかる作業となるはずです。決して焦って安易に手続きを進めないようにしてください。負債を相続するとトラブルに繋がりかねません。財産調査の結果、負債の方がプラスの財産よりも多かった場合は相続放棄を選択されるかと思いますが、相続放棄は家庭裁判所へ相続放棄の申請をしなければなりません。この申述には期限があり、「相続があった事を知った日から3か月以内」と決まっており、間に合わなかったり、申述をしなかった場合には、先ほど少し触れましたが、借金も相続する「単純承認」をしたとみなされます。この3か月という期間は意外と短いため、相続か相続放棄か判断がつかない場合もあるかと思います。このような場合は、相続放棄の期限内に「相続の承認または放棄の期間の伸長」を家庭裁判所に申立てます。家庭裁判所が相続放棄の期限延長を認めれば、相続放棄の期限を1~3か月程度延長出来るようになります。

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