024年06月04日
Q 遺言書を見つけたのですが、開封していいものか司法書士の方に伺います。(和歌山)
私は和歌山出身の50代の会社員です。今は結婚をして和歌山を出ていますが、両親や親戚は和歌山にいます。先月80代の父が和歌山市の実家で亡くなり、和歌山の斎場で葬式を行いました。その後、遺品整理をしていたら父の直筆らしい遺言書のようなものを見つけたのですが、遺言書には封がされているのと、厳重に保管されていたので気軽に開封してはいけないような気がしました。ドラマなどでは家族が集められ、皆の前で開封するイメージがありますが、実際のところはどうなんでしょうか。ただ、できれば早く遺言書の中身を確認したいのですが、遺言書はこの場で開封しても大丈夫ですか?(和歌山)
A 法務局で保管されていない自筆証書遺言は、家庭裁判所で検認を行ってから開封します。
相続手続きでは、基本的には法定相続分よりも遺言書の内容が優先されるため、遺言書の存在は非常に重要なものとなります。遺言書の普通方式には3種類ありますが、今回ご自宅で見つかったお父様の遺言書は自筆証書遺言といいます。この遺言書は勝手に開封することは出来ず、家庭裁判所において検認の手続きを行ってからはじめて開封することが出来ます。遺言書を勝手に開封すると、5万円以下の過料に処すると定められているため決して開封しないようにしてください。ただし、2020年7月より自筆証書遺言書の保管を法務局で行う事が可能となり、自筆証書遺言でも法務局で保管していた場合は家庭裁判所での検認手続きは不要となります。
次に、ご自宅等で保管されていた遺言書を勝手に開封してはいけない理由をご説明します。ご自宅等で遺言書を開封した場合、発見者が遺言の内容をその人の都合のいいように改ざんする可能性が否定できません。このような不正を防ぐため、開封前に家庭裁判所において検認を行って、遺言書の形状や訂正の可否などといった検認日における内容を明確にしています。また、相続人が遺言書の存在およびその内容を確認するため、その後の偽造防止にも効果的です。
【検認手続き】
①家庭裁判所に提出する戸籍等を集める
②家庭裁判所へ検認の申立てをおこなう
③家庭裁判所から検認の期日についての通知が届く
④家庭裁判所にて遺言書の検認がおこなわれる
⑤遺言書が返還されたら検認済証明書を申請する
⑥検認済証明書が付いた遺言書を元に手続きを進める
なお、検認手続きの当日は申立人以外の相続人全員が出席する必要はありません。ただし、検認を行わないと遺言書に沿って不動産の名義変更などといった手続きを行うことはできないため必ず検認を行いましょう。
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