相続・遺言相談事例6
Q:養子縁組すると元の親の遺産は相続できないのですか?(和歌山)
私は連れ子の立場の者です。幼いころ両親が離婚して、母に引き取られました。 その後母が再婚し、今の父と養子縁組で親子になりました。養子縁組したことによって、新しい父の遺産を相続する権利が発生したことを知りました。そこで質問なのですが、今の父と養子縁組した時点で実父の遺産を相続する権利は失われたのでしょうか?(和歌山)
A:実親の相続権は失われません。
ご相談者様が新しいお父様と養子縁組で親子関係を結んでも、実のお父様との親子関係は失われることにはなりません。よって、現時点でご相談者様はお母様、実のお父様、現在のお父様の相続権があることになります。
実のお父様が再婚され、新しくお子様を設けられている場合、将来実のお父様が亡くなられた時の相続が複雑になることが予想されます。 この場合の相続人は配偶者と、子供であるご相談者様と、お父様と後妻様の間に生まれたお子様が相続人になります。遺産分割協議の際に相続人全員で遺産分割を行わなければなりません。 そのような場合の対策としては、被相続人である実のお父様の方で遺言書を残すことで、相続がスムーズに進むよう準備することが考えられますが、推定相続人であるご相談者様の立場からでは何か対策をすることは難しいでしょう。
また、万が一お母様と新しいお父様が離婚されたとしても、新しいお父様に対するご相談者様の相続権は失われません。 離婚は夫婦間の婚姻を解消するもので、親子関係を解消するものではないからです。この場合は、養子縁組を解消することで、ご相談者様の権利が失われます。
稀なケースではありますが、ご相談者様が養子縁組を解消されないまま、別の方と養子縁組をすることも法律上では可能です。